日本では、江戸時代に、寺請け制度が敷かれました。
幕府はキリスト教禁止を強化するため、どの家も仏教のいずれかの宗派に所属させ、寺院の檀家(檀徒)になるようにした制度で菩提寺の始まりです。
寺院が幕府の統治体制の一翼を担うこととなった。

本来の目的は、信仰宗教を調べることであったのですが、現在の戸籍原簿の管理と言う側面も持つようになりました。
この制度が定着して檀家制度(寺院が檀家の葬祭供養を独占的に執り行う事で結ばれた寺と檀家の関係)が出来上がったのです。こうしてお寺が獲得した檀家に対して幕府は菩提寺への参拝や御布施を義務付けたため、寺にとって檀家は顧客で有り、安定した収益基盤でした。
やがて、寺院の本来業務であるべき宗教活動がおろそかになり、汚職の温床にもなったのです。
寺請制度は、明治初頭まで存続し、1871年(明治4年)に廃止されました。
檀家制度は、明治維新以降も風習として残っているというのが現実で、檀家制度は他の仏教国には例をみない日本独特のシステムです。

何を言いたいのかと言えば、お寺と檀家との関係というのは、こういった制度とは関係なく双方の信頼関係が重要であるという事、信頼関係があればお寺は、檀家離れなど心配しなくてもよいし、檀家は突然の寄付や多額の御布施に恐怖を憶えなくても良いという事、お寺さんには本来の人の道を追求する為の仏道を広めていってもらいたいものです。

御布施の意味
御布施の意味とは、六波羅蜜と言う修行のうちのひとつです。
六波羅蜜とは、六つの徳目の総称でこの六つを実践すれば、煩悩が消えて悟りの世界に到達出来るとされています。

布施(ふせ)・・・・・人に施しを与えること
持戒(じかい)・・・・戒律を守り、省みること
精進(しょうじん)・・常に努力すること
忍辱(にんにく)・・・苦しくても絶えること
禅定(ぜんじょう)・・心を落ち着かせ、安定させた状態で自己反省すること
智慧(ちえ)・・・・・正しく判断力をもち、物事の真実をみる目をもつこと

御布施には、三種類の意味がある
財施(ざいせ)、金銭、衣服、食料などを施すこと。「もったいないと思うこころ・おしいと思う心・恩にきせるような心」はもたない。
法施(ほうせ)・物質やお金ではなく、お釈迦様の教えを説いたり、他人の為に読経をすることなど。
無畏施(むいせ)・色々な恐怖や不安などを取り除き、安穏な心を与えること。

この文章は、為になる為平成28年春彼岸会 北の杜御廟お墓講習会の文章を抜粋させていただきました。